【衝撃】2022年度採用の学振研究員申請書の変更点に対する考察

学振

令和2年度(2022年度)の学術振興会特別研究員の募集要項が発表されました!

大上先生のツイートを見て、今回の変更点の大きさに衝撃を受けました。

(大上先生は今回の学振申請様式の変更に全面対応した書籍学振申請書の書き方とコツ 改訂第2版 DC/PD獲得を目指す若者へを上梓されています)

私も学振 DC1 に採用していただいたので申請書を自分で書きましたし、毎年 2~3 人の後輩の申請書に対してアドバイスをしています。

項目ごとにスペースの広さが変わるなどの若干の変更はあるものの、記入する内容やその構成はこれまでほぼ同じでした。

しかし、今年の変更は申請書の構成を大きく変える変更になっています。

そこで、今回は申請書の変更点 (特に重要と感じた 4 項目) についてまとめましたので、学振 DC1・DC2 を出そうと思っている修士・博士の学生さんのお役に立てれば幸いです (学振 PD も同じ変更ではありますが、私自身が出したことがないので、今回は DC1, DC2 に焦点をあて話を進めていきます)。

できるだけ正確な記載を心がけますが、変更点に対して私の考察を加えているので、間違った内容を書いている可能性もあります。

正しい内容に関しては、こちらの日本学術振興会のページにある募集要項や申請書様式をしっかり読み込み、自分の判断の元で当ブログを参考にしてください。

変更点の説明

〈2021年度〉→〈2022年度〉の変更内容を説明し、その変更に対する私の考察をコメント欄に書いています。

変更点1.【現在までの研究状況】を記入する欄が消えた

〈2021年度〉1.5 ページにわたって【現在までの研究状況】が求められていました。

〈2022年度〉【現在までの研究状況】が消えました。いきなり、【研究計画】を記入する欄から始まります

  • 【研究遂行能力の自己分析】という欄 (詳しくは変更点3) に、これまでの研究内容の一部を記入したら良いのではないか。
  • 研究計画が初めに来たということは、過去の研究内容より、未来の研究内容が重要視されていると考える。
  • 社会人を経てから博士課程に入学する方や博士から異分野に飛び込んだ方にとっては、【現在までの研究状況】の欄がなくなったことは朗報。

変更点2.【研究計画】が一つの欄に統合

〈2021年度〉

記入内容記入スペース
研究の目的・内容0.5頁
研究の特色・独創的な点1頁
研究計画1頁

と、それぞれの内容がスペースで区切られていました。

〈2022年度〉

記入内容記入スペース
研究の目的・内容2頁

研究の目的・内容 (色々まとめた感じになってる!) となって、〈2021年度〉と似た内容を 2 ページというスペースに自由に記入することができます。

  • 自由に書けるが、各項目ごとにバランスよく記入することが求められるでしょう。
  • 各項目を区切る枠がなくなったことで、「もう少し書きたいけど、スペースの都合上書けない。」みたいな操作がなくなる。

変更点3.【研究遂行能力】から【研究遂行能力の自己分析】に変更

〈2021年度〉
【研究遂行能力】の欄には、論文・学会発表・受賞などのいわゆる業績を 0.8 ページ分記入していました。

〈2022年度〉
【研究遂行能力の自己分析】では、
(1)研究に関する自身の強み (←ここで業績を記入します)
(2)今後研究者として更なる発展のために必要と考えている要素
を 2 ページ
にわたって記入する欄があります。

  • 【研究遂行能力の自己分析】の説明に、“これまで携わってきた研究活動における経験などを踏まえ、具体的に記入してください” とあります。【研究遂行能力の自己分析】のところに、2022年度までに求められていた【現在までの研究状況】の一部と業績を組み合わせて記入すれば良いと私は考える。
  • 業績欄がスカスカの場合でも、文章でスペースを埋めることが可能になった (業績が重要であることは変わらないと思うが…)。

変更点4.【目指す研究者像】の記入スペースの増加

〈2021年度〉
【研究者を志望する動機、目指す研究者像、アピールポイント等】で1ページ

2022年度
【目指す研究者像等】
(1)目指す研究者像
(2)上記の「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ
を 1 ページ
に記入することが求められています。

目指す研究者像の説明には
日本学術振興会特別研究員制度は、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的としています。 この目的に鑑み、(1)「目指す研究者像」、(2)「目指す研究者像に向けて特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ」を記入してください。
とあります。

  • (2)「目指す研究者像」に向けて、特別研究員の採用期間中に行う研究活動の位置づけ、は新しい記入内容。
  • 自分が目指す研究者像を設定した上で、目標とする研究者になるために身につけるべき能力やどんな経験をすべきなのか等を挙げる。そして、学振期間中の研究を通して、どのようにして習得していくのか、具体的に記入することが求められている。
    • (例) グローバルに活躍する研究者になるために、申請者の研究領域で有名な○○博士の研究室での研究を計画している。そのために、△△年◇月に開催される××学会で発表を行い、○○博士とコンタクトを取る予定である。

まとめ

2022年度の申請書は書く順番や文章構成が変わるなどの大幅な変更点があるものの、申請書の書き方のエッセンスはこれまで通りだと思います。

博士課程で行う自分の研究を見つめ直し、研究室内の先輩や先生、学振を申請する仲間達と切磋琢磨して、より良い申請書を書き上げてください!

申請書の内容を考える→人の意見を聞く→また書き直すという過程があなたの研究のレベルを向上させてくれます!

下記に申請書を書く際に参考となる書籍や Web サイトを載せておくので、様々な情報を得て、ベストな申請書を書き上げてください!!応援しています!

申請書を書く上で参考となる書籍とWebサイト

書籍




Webサイト

科研費.com
このサイトは、応募経験が浅い若手研究者・なかなか採択されない方を対象として、科研費をはじめ、学振やAMEDなどの申請書の書き方だけでなく、面接・プレゼンも含めて、わかりやすく伝えるためのコツを解説します。ちょっとしたコツを学ぶことで、採択の可能性は大きく上昇します。

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